田舎に帰るたんびに記憶にひっかかる場所を歩きます。

　もともと昔の写真を持ちだしては、この人はだれだとか、どうなったのかとか

　毎回母親を質問攻めにして、また始まったと嫌がられるたちです。

　ある夏、一葉の写真が気になり、幼稚園の頃城跡で撮った、

幼なじみや近所のお姉さんと一緒に、

　三の丸の大きな石に座っている写真だけれど、

夕暮れ時何十年ぶりにおんなじ場所に行ってみました。

　まわりは変っていたけれど、石はそこにありました。

　「ひさしぶりじゃなあ」と、いわれた気がして手の平をあてると、

　まだあったかかった。


　風の通るふるさとです。